はじめに

ひとつは図書館はあまりにも大きく、人間の手による縮小はすべて軽微なものであるということ。、いまひとつはそれぞれの本が唯一のかけがえのないものだが、しかし、千の数百倍もの不完全な複写が、一字あるいはひとつのコンマの相違しかない作品が常に存在するこということ。 

J.L.ボルヘス バベルの図書館


そもそもの話私はボルヘスがバベルの図書館で書いたようなひとつのの作品の背後には無数の複写があり無数の先行作品がありその先行作品にもさらに無数の複写が存在しておりその批評にすらも無数の複写が存在している、というスタンスの信奉者である。

その上で今更自分が書くべきことは何もなく言うべきことはなにもないと考えていたがその考えを撤回してなにがしか書こうと思い立ったのは理由がある。

自分自身がなにがしかの触れて作品にヤバいものを見た、呪われてしまった、永遠を見た、と感じたその瞬間を忘れないため、反芻するため、永遠を見た、と感じたあの一瞬を取り戻す、いわば自己満足のために、ブログを始めようと思った次第だ。

しかしブログの文章を書くのは難しい。自分の書いたこの文を見直してへんな硬さと自意識過剰が凄まじくうわーという感想を自分に持ってしまった。